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理事長ごあいさつ

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衆議院選挙は民主党の圧勝に終わり、政権交代の準備が行われています。マスコミは連日、民主党の議員を呼んで様々なマニフェストの中身を問い詰めています。国の大事、それも改革をしていく中で拙速に決められるわけではありません。そこには、急を要するもの、ゆっくり進めるものの振り分けをする必要があります。急を要するものの一つとして、民主党はインフルエンザ対策を入れています。今回、この問題を考えてみたいと思います。今年4月に発生した新型インフルエンザですが、5月には神戸の高校生に発症し大騒ぎになりました。これは、新型インフルエンザの対策が強毒性の鳥インフルエンザを対象としていたため、強制隔離が前提となり、インフルエンザの患者を診た診療所が一週間閉鎖措置をとられ、一般市民のみならず医療界にも混乱を来たしました。この時期には、新型の毒性がどの程度であるか分からなかったからです。しかし、7月には感染も一段落し毒性の低さも加わり、社会の関心も薄れてきました。そこに来て8月に沖縄で、続いて兵庫県で透析患者さんの感染死亡例が出ました。兵庫県透析医会では、本邦初感染の前に一回目の会合を開き、各施設への対応方法の伝達を行いました。更に、神戸での発生直後、更に7月には5月の騒動の総括を、8月には透析患者死亡例の検証を行い秋に向けての対策を話し合いました。一方、行政の対応は決してスピーディとは言えません。
当初から言われていたワクチン不足の対応(接種の順番をつける)も、8月の死亡例が出て初めて一回目の会合がもたれています。本来なら6月にも決定していなければならない事だと思います。不足分は輸入に頼ると言っていますが、量を確保できるか?安全性はどうか?についても曖昧なままです。新学期が始まり、9月末に流行のピークを迎えるかもしれない時期に厚労省のワクチン接種開始は10月下旬と発表しています。全く話になりません。今回の騒動から、日本の感染症対策システムの貧困さが露呈しました。患者を受け入れる医療機関のシステム化が未だ決まらず、収容能力も貧弱なものであることが分かりました。トホホと情けない気持ちになりますが、嘆いてばかりではいけません。
仁成会では、4月末の患者会から新型インフルエンザを取り上げ、折に触れ皆様にお知らせしてきました。兵庫県透析医会の感染対策でも中心的な役割を行っています。患者さんやご家族、スタッフ皆様の協力でこの危機を乗り超えましょう。

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理事長   依藤 良一

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