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理事長ごあいさつ

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今年の2月で仁成クリニック開業25年となりました。これも一重に患者の皆様とスタッフのご協力の賜物と感謝しております。これからも仁成会は、皆様に安心して通院していただける施設として努力してまいります。 さて、今回は2つのお知らせをいたします。

1つ目は大規模災害に対する対応です。
ご承知のとおり、4月に熊本で震度7の直下型地震が起こりました。災害対策については、過去の仁成航路でも折に触れて特集を組みましたが、改めてお知らせします。クリニックや患者さん個々の対応については今回の特集をご覧下さい。ここでは全国規模の対策と兵庫県透析医会の対策をお知らせします。
全国規模の災害支援活動として日本透析医会災害時情報ネットワークとJHAT(日本災害時透析医療協働支援チーム)があり、今回の震災でも迅速な活動が行われました。JHATは、日本透析医会、日本臨床技士会、日本腎不全看護学会、日本血液浄化技術学会の4団体が母体となり、被災した施設や医療スタッフへの支援活動を行うことを目的に2015年に設立されています。また日本透析医会災害時情報ネットワークは、阪神・淡路大震災以後に設立されたもので毎年会議や情報訓練を行い、早期に全国からの情報が集約されるようになっています。このネットワークの情報をもとにJHATが活動しています。4月14日の熊本地震の時も、21時35分に発生し、その7分後には我々のところにメールが届いています。49分には熊本の管理者から熊本県内の情報収集が開始され、3時間後には透析不能施設4施設が判明しています。16日未明には本震が発生し、さらに被害が拡大しましたが、19日にはJHATの先遣隊が現地に派遣され、被害状況や支援内容が発信されています。阪神淡路大震災の頃とは比べようのない速さで対応が可能となりました。
兵庫県では、災害時情報拠点が神戸元町HDクリニックに置かれています。また、六甲山の裏側に第2拠点として赤塚クリニックに設置しています。さらに県下を数ブロックに分け、より細かく災害時の連携が図れるようにしています。北阪神ブロックの情報拠点は、仁成クリニックが担当しています。
これからも全国各地で震災が発生する可能性がありますが、より迅速に正しい情報を得ることと、震災時に対応する正しい知識を持つことが重要です。

2つ目のお知らせは、今年の診療報酬の改訂に伴う薬の話です。
今回の透析医療に関連した改定では、相変わらずの減額が行われました。かねてより透析医療費はキャップ制が敷かれ、ほぼ総額2兆円以内とされています。日本の概算総医療費が40兆円ですから一つの疾患で5%を占めています。まだまだ透析患者数は増加していますが、総額が決まっているため患者さん一人あたりに使える医療費は年々減少することになっています。国は総医療費の増加を抑えるために様々な対策を行っています。国の薬剤費は10兆円と言われていますが、それを抑制する方策の一つとしてジェネリック医薬品の拡大や薬剤量の削減、湿布薬の制限が行われています。皆様にもご協力頂いているものです。その一方で大変高価な薬剤が承認されています。先日も話題になりました抗がん剤(オプシーボ)は一回133万円で2週間ごとの投与。年間3460万円で対象患者数は5万人、年間2兆円です。この薬は癌の特効薬ではありません。また、慢性C型肝炎の治療薬ハーボニー(透析患者には適応外)は100%ウイルス除去効果がありますが、1錠8万円、1日1錠12週間、総額756万円で対象患者数は130万~150万人、全員治療すると1000兆円が必要となります。

理事長   依藤 良一

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