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理事長ごあいさつ

あっという間に今年も半分の6月になりました。通院や日々の自己管理ご苦労様です。先日行いました恒例の宝塚ホテル勉強会に多数ご参加していただきまして有難うございました。
今年は2年毎の診療報酬改定と3年毎の介護保険の改定が同時に行われる6年に一度の年に当たり、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題に向けて厚生労働省が様々な対策をとっている中での改定でした。
そこで今回は、『介護保険制度の基礎知識』について講演して頂きました。介護保険をまだ使っていない方や既に利用している方に賢く利用する方法や制度の現状、将来像について理解して頂く目的で、分かり易く解説して頂きましたので特集記事をご覧ください。
また、問題となっている『ポリファーマシーとサプリメント』について私から少しお話をさせていただきました。
『ポリファーマシー』とは、和訳すれば内服薬多剤併用すなわち多種類の薬剤を同時に服薬する事ですが、最近特にその弊害が問題となっています。

  1. Ⅰ:何が問題か?

    1. ①薬物相互作用: 1対1の併用薬に対する作用は知られているが3剤以上の相互作用に関するデータが少ない。また、6種類以上の併用では転倒・機能障害のリスクや処方・調剤の誤り、飲み忘れや飲み間違いの発生率が高くなるといわれています。
    2. ②薬剤費の増大:国民医療費における薬剤費は25%以上を占め年々増加しています。
  2. Ⅱ:なぜ薬が増えるのか?

    一つの疾患に対して平均1・3剤が処方され年齢による増加はありませんが、高齢化によって自分の病気の数が増えるのです。65歳以上の方の合併疾患は平均3・5と言われています。皆さんも高血圧症や高脂血症、骨疾患、不眠症等々多くの合併症を抱えています。また、リンの薬のように一日で10数錠服用しなければいけない薬もあり、種類だけでなく錠数も必然的に増えてしまいます。中には40錠を超える方もいますが、これでは薬でお腹一杯になるのも無理はありません。

  3. Ⅲ:どうすれば減らせるの?

    薬には必ず用法・用量という言葉が出てきます。決まった量を決まった時間(食前・食後・食間)に服用しないと十分な効果が得られません。飲み忘れや誤った飲み方をすると、我々は効果不十分と判断して量を増やしたり、種類を増やしたりしてしまいます。また、飲みにくかったり効果が感じられなければ医師やスタッフに相談することも大切です。更には生活習慣を見直すことで薬から離脱することもあります。
    日本の医療制度を維持していくための国の施策は、国民にとって痛みを伴うものですが、少子高齢化で世界のトップを走る日本国民として協力していかなければなりません。公助に頼り切らず自助・共助で暮らしていける知恵と努力が要求される時代になりました。今一度、みんなで医療の無駄を見直しましょう。

理事長  依藤 良一

サプリメントの話を追加して記載しました。
健康食品は、健康の保持・増進に役立つもの。サプリメントは、不足しがちなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養補給を補助することを目的とする食品です。特定保健用食品(通称トクホ)は、体の生理的機能などに影響を与える成分を含み、特定の保健の効果が科学的に証明されている食品です。透析患者さんは3割ぐらいの方が健康食品を摂っておられるようです。

薬に近い効果があるものありますが、やはり薬の方が効果を発揮します。薬をきちっと内服してもらえば必要はないかと考えますが、もし使ってみたいと思われる方は次のことに注意して下さい。

脂溶性ビタミン(ビタミンA ビタミンD ビタミンK ビタミンE)は水に溶けないために透析患者の場合は過剰になってしまいますので注意してください。逆に水溶性ビタミン(ビタミンB ビタミンC)は不足しがちになってしまいますので、薬局などで購入して摂ってもらっても可能です。ただしビタミンCは大量に摂ってしまうと「」をつくってしまいますので注意は必要です。

特に注意が必要なのはケール(青汁)です。カリウムが非常に高いので危険です。
 透析患者さんは一日カリウムの摂取量は2000㎎までとするようになっています。青汁一本分はこれに近い量のカリウムが入っていますので要注意です。
更に、ウコンやビタミンA,リンを含む「食品」にも注意が必要です。これらは摂っていただいてもよいのですが、ほどほどにしてもらったほうがよいようです。
健康食品は薬とは違います。それなりの効果があるといった具合のものと考えてください。まずはしっかりと薬を内服してもらうことが大切です。

【院長先生より】
透析患者さんにとって危険なサプリもありますので、服用中であれば必ずスタッフにお知らせください。ケールの青汁は、一杯で一日のカリウム制限量に達しています。絶対にダメですよ。

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