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明けましておめでとうございます。
昨年7月から理事長を承継致しましたが、父やコメディカルスタッフに助けられつつ、大きな問題なく過ごすことができたと思っております。患者様におかれましては、何か至らない点にお気づきになられた際には、ぜひともお伝え頂ければ幸いです。
さて今回少しですが、透析の現況に関して御報告したいと思います。日本透析医学会が毎年統計を集計しており、その返答率は約90%と非常に高く、ここで得られる情報は世界一と言われている日本の透析治療を支えています。
この20年を見ますと、透析導入年齢は、60歳→68.4歳と高齢化しています。透析患者数は17.6万→33.4万人と増加していますが、ここ近年は頭打ちとなっており、人口減少と共にここ数年後には減少に転じるだろうと予測されています。
透析導入年齢が上昇している理由としては、日本の平均年齢そのものが上がっていることもありますが、慢性腎臓病(CKD)の概念が生まれ、腎機能障害が進行する前に腎臓内科への受診、治療をしっかり行うようになった事が大きな原因となっています。
透析の原疾患は、現在糖尿病が第一位で42.5%となっていますが、これは糖尿病が現在の医療では根治困難であるためです。慢性糸球体腎炎や血管炎、高血圧性腎硬化症や多発性嚢胞腎といった疾患は治療法の進歩により根治もしくは大幅に腎予後(腎臓の寿命)を改善させることが出来るようになっています。そのため、透析原因に糖尿病の占める割合は年々増加傾向となっています。
また腎不全に至るような糖尿病は多くの場合、高血圧や反応性低血圧や細動脈障害などを合併しており、透析時の除水により様々な悪影響を及ぼします。糖尿病をお持ちの患者様は特に複雑な病態となっておられる方が多く、長期にわたって全身の評価や必要に応じた治療を提案する、かかりつけ医が今後は益々求められます。当院では透析管理、治療をメインとしておりますが、それだけでは不十分であり、全身管理を心がけ、今後努めてまいりたいと考えております。

固い話になってしまいましたが、最後に筋トレの進行状況に関して報告します。「体つきが変わってきましたね、久しぶりに見て驚きました」と言って頂き、大変嬉しかったのですが、言って頂いたのは筋トレのトレーナーさんでした。目に見えた改善まで、まだ道のりは長そうです。

仁成会理事長 依藤 壮史

明けましておめでとうございます。
昨年は、自然の猛威を思い知らされる出来事が多々ある中、新天皇の誕生で、年号も替わり祝賀ムードが高まって締めくくられた一年でした。
皆様にとってはどんな年だったでしょうか?人それぞれに色々な事があるなかでもこうして新しい年を迎えられました。
今年は、十二支初めの子年、十二支十干で言えば、庚子(かのえ・ね)年です。また、オリンピックの開催される年でもあります。前回のオリンピックは小学生だったため、マラソンを裸足で走ったアベベくらいしか記憶がありません。今回はしっかり見ようと思っていますが、記憶力に問題があり覚えておけるか心配です。
さて、ご存知の通り庚子は、六十年に一回めぐってきます。年齢も六十歳を還暦とし、一区切りとしています。
六十年前といえば、一九六〇年(昭和三十五年)です。安保闘争の真っ只中、現在の天皇陛下が誕生されるというお目出度い出来事がありました。また、高度成長期の時代でもあり、家庭生活では、インスタントコーヒーが発売され、昭和三十三年発売の即席ラーメンと共にインスタント食品の流行が始まった年だそうです。私の小学生の頃の昼食はほぼチキンラーメンでした。三分以内で固めにして食べるのが定番でした。いわゆるアルデンテの状態です。
サランラップもこの年に発売されたそうです。当時はあまり利用されていませんでしたが、その後、冷蔵庫や電子レンジの普及で利用価値が高まったそうです。
この頃の透析という治療は、戦争で外傷性の急性腎不全症を来たした兵士を救う為の治療として一九五〇年ごろからアメリカで実施されました。その後、病気による腎不全の治療としての研究が始まり、日本で初めて透析治療が行なわれたのは一九五三年(昭和二十八年)で、一九六十年代から透析療法に関わる機器の開発が盛んに始まりました。ただ、この頃の透析治療は自由診療の区分のため、治療費は全額自己負担でした。
一九六七年に、透析療法が保険適応になり、広く慢性腎不全患者さんが治療を受ける環境となりました。
六十年前を振り返り、現在の透析状況を振り返ると一九六〇年は正に庚子の特徴である「変化が生まれる状態」つまり、「透析治療が生まれた」ということでしょうか。現在も確立した治療とはいえ、様々な研究がなされ、時代と共に考え方も変化しています。
こういった変化にもぼちぼち付いていきながら、今年も、「安全」「安心」「安定」を目指して一緒に頑張りましょう。

良い事は少なくても、悪い事が無い一年で平々凡々であれば、まあまあOKというくらいの気持ちで今年も宜しくお願い致します。

第二仁成クリニック院長 吾妻 眞幸

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
昨年のラグビーワールドカップは大変な盛り上がりでしたが、今年もオリンピックで日本中が熱狂することでしょう。しかし、オリンピック以上に私はパラリンピックをお勧めします。見慣れない種目も含め、様々な障害を持ったアスリートが競い合う姿は、とても感動的ですのでみんなで楽しみましょう。
さて、年初から重い話で恐縮ですが、昨年末に厚生労働省が作成した『人生会議』のポスターが没になったのを覚えていますか。人生の終末に当たってどのように終えるかを家族で話し合って自分の希望を伝えておきましょうという趣旨でしたが、ポスター(吉本芸人の小藪氏が酸素チューブを付けた写真)をみて死を想起させるとクレームが沢山寄せられて取りやめとなりました。

この問題と関連して透析医療の世界でも透析を一度拒否し中断したが、苦しさのため再度治療を希望したが再開できず死亡するという悲しい事案がありました。これを受けてか、医学雑誌に高齢や合併症を抱える患者さんに『その人らしい生活を支える透析看護』という特集が組まれました。その中で、本人の満足に資する医療とケアのあり方について記載されており、大変有意義と考え、仁成会の看護スタッフ全員に配布し、勉強していただきました。この様な問題を家族だけではなく医師を含めたスタッフにも気楽に相談してください。

仁成会 医師 依藤 良一

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