先日、ポートアイランドで日本透析医学会が開催され、1万6千人の透析医療関係者が参加しました。前回の仁成航路でもお話しましたが、当院は3つの発表と3セクションの座長を行いました。学会を機に改めて透析医療を考えると、時代と共に変化してきました。透析医療の黎明期には腎不全患者の生存率の向上を目指し、透析膜の開発や透析方法の改良が模索されました。その後、安定期に至りクオリティーオブライフと称される患者さんの生活の質が問われる時代に移りました。
そして、近年では危機管理・在宅医療・医療経済が焦点となっています。危機管理は、加古川の院内感染や阪神淡路大震災を契機にマニュアルが出され、安全な医療の実践が追求されています。
在宅医療は、透析患者さんの高齢化や合併症増加に対して介護保険制度を利用して社会的入院を減らし、通院治療を継続する事を目的としています。CAPDや在宅透析がその範疇に入ります。
医療経済では、限られた原資を有効に使い、良い医療を提供する為に医療現場はどのような行動をするかが検討されています。将来の透析医療はどうでしょうか。規制緩和から企業の参入が可能となり、クリニックの企業経営やチェーン化が起こるでしょう。
更に混合診療が認められて毎日の透析がお金を払えば可能になるかもしれません。でも、決してバラ色ではない様に思えます。患者さんの意識も変化し、施設の選択ももっと自由になるでしょう。時代の流れについてゆけないクリニックは消滅してゆきます。


このようなことをあれこれ考えながら、結論としてこれからも良い医療が提供できる施設を目指して努力してまいります。
院 長  依藤 良一