五木寛之の“元気”という本を読まれた諸兄もいらっしゃることでしょう。その文中で一つのエピソードを紹介しています。
私は少年の頃、石田三成という武将のエピソードを教えられて、彼を馬鹿にしていた事があった。名将、知将として有名だが、関ヶ原の戦いで敗れて、京都の六条河原で首を斬られた。京都に護送される途中、彼に同情する警護の侍が柿を差し入れて食べるように勧めた。すると三成は「柿は腹に良くないから」といって断ったという。翌日、処刑される身に養生が必要かと人は陰で笑ったそうだ。私も以前はその話を笑って聞いたものだ。しかし、今は違う。むしろそんな三成は、ひとかどの人物だったと感じるところがある。彼は自らの天寿を最後の瞬間まで大事に生きようとしたのだろう。
天寿とは、天から与えられた寿命です。人は天寿を知る事は出来ません。だから、一日、一日と与えられた命を大事にするしかない。作者は、健康法も勉強も、心身鍛練もすべて「無功徳」と諦めたうえで、淡々と行えばいいと言っています。
食生活や日常活動に沢山の制限を受けていらっしゃる皆様にとって如何思われるでしょうか?
現在、クリニックでは、スタッフレターという受け持ち看護師が、半年間のデータを総括して皆様にレポートを書いています。すでに受け取られた方もいらっしゃると思います。週毎のデータ変化だけではなく、長期的な傾向をお知らせする事は大変重要であると考えて実施する事と致しました。初めてのレポート作成に当たって、家に持ち帰ったり、遅くまで居残りをしたりと大変苦労をして作っておりますので是非ご覧戴きたいと思います。今年の夏は、猛烈な暑さでした。思いのほか身体に負担が来ています。体調の変化に気づいたら、すぐにお知らせ下さい。
院 長 依藤 良一