仁成航路 第15号 平成17年7・8月

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今回は“怒り”について書こうと思います。昨日、ニュースを見ていると次から次に怒りの元になるような話題ばかりでした。ロンドンでの爆弾テロ、道路公団の談合や児童虐待事件、阪神タイガースの完封負け等々。特集では、障害者支援措置法案の改定に関し国会前で座り込みをしていた障害者の方々の怒りのコメントがありました。

先日から仁成クリニックも院内禁煙となりました。遅すぎるとお思いの方も大勢いらっしゃる事でしょうが、タバコ大好き禁煙なぞ考えた事もない院長と副院長がやっと決断いたしました。(勿論、医師室も吸えません)しかし、タバコの効用はリラックスできる事です。(これも愛煙家だけ感じている効用ですが)ニコチンが切れると怒りやすくなる傾向にあるといわれています。昨日、ニュースを見て怒った私はニコチン切れも作用していたのでしょうか。

“怒りの心”といえば、江戸時代後期の心学者 鎌田柳泓(りゅうおう)が “仁を積むための八則”をしるし、その第一に「怒りの心を断つべし」と戒めています。谷沢永一氏の解説によりますと、人間は誰でも腹を立てるときがある。その原因の大部分に於いて実は自尊心が傷つけられたからと言うのが深層部分の理由である。人間は一生の間、絶えずどこかで自尊心を傷つけられながら生きているものである。その時に自分の自尊心の水位を少し低くして、自らどこが足らなかったのかと反省するのが望ましい生き方だと思う。勿論、抑えるばかりが能ではない。それではストレスがたまってします。だが、その怒りの情を他人にぶつけるのではなく、自分でうまく処理するのが賢明な生き方の知恵といえるだろう。アメリカのジェファーソン大統領は「腹が立ったら十まで数えよ。うんと腹が立ったら百まで数えよ」と言っているが、怒りへの対処の仕方を覚えたいものである。といっている。正に同感です。

仁成クリニックは “仁を成す”という崇高な理念を掲げて開業致しましたが、今一度原点に立ち返って仁を積んでゆきたいと思います。
“仁を積むための八則”・・・・鎌田柳泓
第一に、怒りの心を断つべし。
第二に、誹謗の言葉を出すべからず。
第三に、驕慢の心を断つべし。
第四に、みだりに財宝を費やすべからず。
第五に、人に交わる時、常に顔色を柔和にすべし。
第六に、言葉を謹んでみだりに悪口などすべからず。
第七に、もし、家に害なき所の財宝あらば、貧者などにほどこすべし。
第八に、物の命を惜しむべし。
皆様も是非、実践してみてください。
院 長  依藤 良一