理事長ごあいさつ
先日、腎友会阪神ブロック交流会に出席して、会の冒頭に兵庫県透析医会会長として挨拶させていただきました。
内容は、近い将来現実となる可能性がある透析療法について述べています。一部割愛していますが、皆さんにも是非ご覧いただきたいと思います。
『アベノミクスの第三の矢と言われている成長戦略の本丸は、農業改革と医療改革だそうです。参議院選挙の絡みもありますが、PTT交渉参加を控え、かなり大きな改革や規制緩和が今後行われそうな情況です。医療では、混合診療や株式会社の経営参入の解禁が巷では予想されています。すべては認められないでしょうが、風穴を開けるように少しずつ行われていくでしょう。一概に悪い事ではないと思いますが、注意深く見守る必要があると思います。
今日、来られている皆さんもそうでしょうが、将来、高齢化や合併症で通院が出来なくなったらどうしようということが一番の不安ではないでしょうか?
昨年、日本透析医会では、通院困難となった透析患者さんについて大規模なアンケート調査を行いました。一般病床、長期療養型病床、介護型病床やサービス付き高齢者賃貸住宅など現状の入所施設の利用実態をはじめ、将来規制緩和によって現実となるかもしれない連日短時間透析や隔日透析、更にはLCU(これは、リミテッド・ケアー・ユニットと呼ばれる専門ナースや臨床工学技師が中心に透析を行う施設で、医者は各ユニットを車で巡回する)や共同入居施設でスタッフに依存した家庭透析、訪問看護による家庭透析などが取り上げられました。
医師やスタッフを削減し、機械に依存するLCUや介護型家庭透析は、まだ国内では殆ど実践されていませんが、透析医療費の削減をもくろむ厚生労働省や財務省にとっては魅力的な治療法と考えているかも知れません。
しかし、アンケートでは、ほとんどの透析医が現状の医療レベルを可能な限り維持すると答えておりますので、一安心かと思います。
兵庫県透析医会では、医療資源がすべての患者さんに平等に渡る事、医療の質を維持する事、安全な透析を提供する事を今後の医会の大きなテーマとして掲げ活動してまいります。』
ここ2,3年の県下の透析状況を見ますと、透析機器の発達により透析未経験の医師や透析看護師が殆どいない(臨床工学技士が殆ど)施設が増えてきました。
透析医や透析看護師の存在意義が問われています。
現在のような透析専門医が、適正数の看護師や臨床工学技士を抱えて治療しているサテライト透析がこれからも継続できるよう医療者と患者が力を合わせていかなければなりなせん。
理事長 依藤 良一