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理事長ごあいさつ

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ものすごい暑さの夏が漸く終わりましたが、夏バテはこれからが本番です。この時期には発汗量の減少から例年水分調節に苦労される患者さんが多く見られます。急激な気温変化で体調を崩さないよう十分な栄養と睡眠をとって、塩分と水分を夏場に比べて少し控えてください。また、血圧も変動しやすい時期ですからマメに測りましょう。
季節は秋になりましたが、巷には明るいニュースが乏しい限りです。そんな中、東京オリンピック開催の決定は、日本中に希望と勇気を与える素晴らしいニュースでした。万歳!
先日、何かの弾みで今年自分の身の回りに起こった大きな出来事を考えてみる事にしました。一般的には年末に今年の重大ニュースが新聞でよくみられますが、一度皆さんもやってみてはいかがですか?
私の場合、一つ目は生まれて初めて人間ドックに行きました。予想通り、バリバリの生活習慣病でした。(高脂血症、高血糖、脂肪肝)おまけにタバコの吸い過ぎで軽度の肺気腫も指摘されました。医者の不養生の典型ですね。皆さんに偉そうな指導は出来ません。二つ目はクリニックの横に流れている小仁川で1メートルを越える大きな蛇を見ました。興奮してみんなに知らせたのですが、主任の柴田君が “先生、明日休みやろ。パチンコ行ったら良い事あるよ”と変なアドバイスをくれました。仕方なく?言われた通りパチンコに行ったら、何と3万円勝ってしまいました。蛇は金運を呼ぶというのは本当でした。それ以外には特に大きな出来事もなく平々凡々とした生活を送っています。 さて、前回の巻頭言でこれからの透析医療の変化について述べましたが、まだまだ皆さんは実感として受け止めておられないと思いますが、現実には様々な変化が起こっています。しかし、世界的に見れば日本の医療制度は、まだまだ恵まれています。比較にはなりませんが、読売新聞に中国の腎移植の話が載っていました。人口比で腎不全の患者さんが多いのは、台湾、日本、アメリカの順だそうですが、中国で腎移植対象患者数は100万人を越えるそうです。もちろん、全ての腎不全患者が、血液透析を日本のように受けられる訳ではありません。多額の自己負担が必要で、経済力のある人しか透析を受けられません。さらに悲劇的なことは、家族が他の病気で治療を受ける為に多額の借金をして、やむなく腎臓を売っているケースがあるそうです。腎臓の相場は30万~40万元(500万~600万円)ですが、仲介業者を通すと、闇の医師や業者の取り分が差し引かれて手元には2万~3万元しか残らない事が多いそうです。(さすが中国人!) 法律では、当然臓器売買は禁止されていますが、合法的な臓器提供による移植は年間4000件しかなく、その主な提供者であった死刑囚も国際的な批判を浴びて、提供者が大幅に減り臓器売買に拍車を掛けているとの事です。2007年、中国では外国人への移植禁止を通達していますが、取材記者は最後に、中国人より高い金額を請求できる外国人へのヤミでの移植が続いているのは確実であると述べています。こんな現実に驚きとともに悲しみを感じます。
1000兆円を超える借金国の日本では医療費の削減のため、自己負担の増加は避けられないのかもしれません。貴重な医療資源の使い方をより有効に慎重に使う様、心がけなければいけません。(家に沢山の薬が余ってませんか?)

理事長   依藤 良一

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