新年を迎えるにあたり
新年明けましておめでとうございます。
2021年は皆様におかれましては、どのような一年だったでしょうか?クリニックにとっては新型コロナウイルス対策に終始した一年だったように思います。2020年1月、国内初の新型コロナウイルス感染症の罹患者が報告されて以降、感染症は急速に拡大しました。感染症流行が始まった当初は、隔離以外の感染防御法がない状況でしたが、2年あまりでワクチンと抗ウイルス薬が使用可能となりました。ワクチンに関しては、日本国民の約73%が2回接種を完了しており(2021年11月7日現在)、国内の感染者数は急速に減少しつつあります。抗ウイルス薬に関しては、現時点では注射薬しか使えず、使用できるタイミングも限られてはいますが、内服薬も開発されつつあり、2022年明けにも使用可能になるのでは、と言われています。
このように新型コロナウイルス感染症に関しては徐々に展望が見えてきていますが、世界的に見るとドイツやイギリスでは一時期改善していた感染者数、死亡者数が再び急増しています。両国ともワクチン2回摂取率は65%余りで、一定の集団感染防御効果があると思われますが、増加傾向となっています。原因として、日本人と欧州人との文化の違い(マスク着用を嫌がる、パーティーや会話時に距離をとらないなど)の他に、これから検証がされると思いますが、2回のワクチン接種後しばらくすると抗体価の低下が証明されていますので、やはり時間経過とともにワクチンの感染防御効果が落ちるのではないかと考えられます。透析患者様に関しては、予防接種を2回接種しても入院率や死亡率は減少するものの一般的な疾病と比較しワクチン接種後でも未だ高いとの国内での報告もあり、引き続き感染対策には十分御留意頂く必要があると思われます。
さて、2021年は東京オリンピックが開催されました。皆様、感動された競技がそれぞれおありかと思います。私は柔道の阿部一二三・詩選手達の兄妹の金メダル獲得が最も印象に残っています。夏季五輪での兄妹同日金メダルは史上初の快挙だそうです。兄の一二三選手は、「甲乙付けがたい」と言われた、ライバルの丸山城志郎選手と2021年4月に直接対決の一発勝負で24分におよぶ(通常の試合時間は4分!)死闘の末に代表選手の座をつかみました。すでに女子52㎏級の日本代表を確定させていた、妹の詩選手は「私にできることは、お兄ちゃんを信じること。お兄ちゃんなら、絶対に決めてくれる。二人で目標にした東京五輪は、一緒に挑みたい」と決戦前に語っており、兄はそれに応えます。兄妹の東京五輪決勝が同日の7月26日となり、兄妹は同日金メダルを目標に掲げます。妹の詩選手は、決勝でかつて公式試合四八連勝の記録を止められ、国際試合で唯一の黒星を喫している、フランス代表のアマンディーヌ・ブシャール選手との試合を制し、金メダルを獲得しました。そのすぐ後に兄の決勝戦が始まり、大きなプレッシャーを感じていたはずですが、「プレッシャーは感じない。逆に燃えた。いいパワーをもらった」と見事に勝利し兄妹同日金メダルの偉業を達成しました。
もし兄妹ではなく一人で挑んでいたら、二人とも金メダルを取れていたのでしょうか?お互いの存在はプレッシャーにもなったかもしれませんが、それも自分の強さに換える強さがあったように私は思います。若い御兄妹ですが、今後どのような人生を過ごされるのか、楽しみにしたいと思います。
御兄妹は兵庫県神戸市の出身だそうです。御兄妹と同郷であることを誇りに思うと共に、私もお二人に負けない様に精進していきたいと思います。
本年もよろしくお願いいたします。
仁成会理事長 依藤 壮史
新年あけましておめでとうございます。
令和2年に引き続き昨年も、コロナに振り回され、あっという間に過ぎてしまいました。
令和3年は本当に我慢の年でした。何度も感染拡大の荒波が押し寄せ、この先どうなるのかと暗澹たる思いで過ごしました。でも、なんだかんだと言いながら普通に仕事をし、たまには外食で黙食したり、スーパー銭湯で黙浴したりとまさに「黙々と」自粛生活を過ごした感じでした。そんな状況下でもオリンピックがそれなりに無事開催され、ワクチン接種も進み、少しずつイベントも開催されるようになってきました。又、治療薬開発等、これから先の生活に明るさも見えてきました。
クリニックにおいては、マスク装着をはじめ、検温・除菌・消毒や発熱に伴う隔離透析など感染予防を実践し、クラスターを起こすことなく何とか乗り越えてまいりました。この場をお借りして、皆様のご協力に感謝いたします。
今年もまだまだ油断禁物です。コロナ禍以前の生活を懐かしんでも、元には戻れそうもありません。
ならば・・・「新しい生活」を前向きにとらえて考え方を変えた方が良さそうです。
例えば、マスク。鬱陶しいし、面倒くさいですよね。でも、今回のコロナ禍でマスクによる飛沫感染の予防効果が詳しく実証されました。インフルエンザや風邪に罹る人が少なかった例から見て、皆様も実感されている事ではないでしょうか。「万病のもと」といわれる風邪は、熱・咳・鼻づまり等だけでなく体調を崩す元凶にもなります。マスクは、「紐を耳に引っ掛けて口を覆うだけ」です。こんな簡単な予防対策をしない法はありませんよね。
基本的感染予防対策としてのマスクや手洗いは、安定した透析生活の根本を支えるといえるかもしれません。
今年は、自粛・我慢を2年間続けた自身へのご褒美を考えてみましょう。そして、その間に経験したことを活かしながら「新しい生活」をできるだけ穏やかで楽しく過ごしましょう。
今年も宜しくお願い致します。
第二仁成クリニック院長 吾妻 眞幸
新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。
昨年は、コロナ感染蔓延の中、東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。困難な状況の中、選手の頑張りにより沢山の感動と勇気を与えてくれました。やっぱりスポーツは観戦するだけでも楽しいですね。
昨年はもう一つ素晴らしいニュースが飛び込んできました。10月22日ニューヨーク大学の医療センターでブタの腎臓を人間に移植して54時間以上拒絶反応を起こさず尿を生成し正常に機能したという報告です。54時間以降の事は、まだ報告がないので分かりませんが、大変画期的な試みで将来の腎移植に大きな希望を与えてくれるものです。豚の腎臓を移植する(異種移植)は、1950~60年代にヒトからヒトへの移植(同種移植)の発展と共に試みられましたが、今日まで実現しませんでした。その異種移植の進歩を妨げた大きな要因は、ブタの細胞内にあるレトロウイルスの感染リスクと拒絶反応でした。この問題を解決したのは、新型コロナのワクチン作成に用いられた遺伝子組み換え技術と免疫抑制剤の進歩です。この遺伝子組み換え技術によって2017年ヒトの細胞が入った豚の胎児を作ることに成功し(これをキメラ技術と言います)、今回の移植にキメラ技術を使った腎臓が使われました。
倫理的なことを留意し、移植を受けた症例は脳死状態の方で、生命維持装置を利用し回復の見込みのない方ということです。一時間でも長く生着することを望みます。今後、人間の免疫システムに受け入れやすくするために更なるゲノム編集が必要になりますが、2年以内に最初の臓器移植が予測されています。
この話にはもう一つ余談があります。この手術を行った主治医も心臓移植を受けていたそうですが、人の死による移植には限界があると思い、この研究に踏み込んだという話です。腎臓移植だけでなく心臓、肝臓やすべての臓器移植が可能になる夢のような話が現実になろうとしています。
仁成会 医師 依藤 良一