掲載内容


理事長ごあいさつ

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寅年の今年で、還暦を迎える年齢になりました。感覚年齢は50歳くらいですが、足腰の衰えや食事量の減少は思わず実年齢を感じてしまう今日この頃です。還暦をインターネットで調べてみたところ、“本卦還り”といって十干十二支が60年で一巡りし、生まれた年の干支に戻ることから名付けられたもので、赤い頭巾やちゃんちゃんこは『赤ちゃんに還る』という意味と『赤は魔よけの色』ということから贈られたもので、生まれ変わった気持ちでますます元気にという願いを込めて祝ったとされています。先日、通勤中にラジオを聴いていると、横綱の白鵬が長生きをするために30歳で引退する予定だと言っていました。人生設計などした事のない私には大変新鮮に聞こえました。自分の歩んできた道のりとこれからの道、正に人生行路を考える良い機会だなと感じたのも還暦のなせる業かもしれません。
古代インドには、人生を4つ(『学生期』『家住期』『林住期』『遊行期』)に分ける思想があったそうです。『林住期』や『遊行期』は、五木寛之の小説に詳しく書かれているので興味のある方は読んでください。彼の言う『遊行期』は、人生の最後の締めくくりである死への道行きであるとともに、幼い心に還っていく懐かしい季節であるとしている。さしずめ還暦の時期がこれに当たるのだろうか?
まだまだガムシャラに生きている私にはピンときません。そんな時に、松下幸之助翁の文を目にしました。

自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。どんな道かは知らないが、他の人には歩めない。自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかけがえのないこの道。広い時もある。せまい時もある。上りもあれば下りもある。淡々とした時もあれば、かきわけ、かきわけ汗する時もある。この道が果たして良いのか悪いのか、思案に余る時もあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。しかし、所詮はこの道しかないのではないか。あきらめろと言うのではない。いま立っているこの道、いま歩んでいるこの道、ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか。自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
他人の道に心を奪われ、思案にくれて立ちすくんでいても、道はすこしもひらけない。道をひらくためには、まず歩まねばならぬ。心を定め、懸命に歩まねばならぬ。それがたとえ遠い道のように思えても、休まず歩む姿からは必ず新たな道が開けてくる。深い喜びも生まれてくる。

この文章を読んでホッとした気分になりながら、これからの人生の道を進みたいと考えています。

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理事長   依藤 良一

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