掲載内容


理事長ごあいさつ

イラスト01

東日本大震災から早くも2年が経ちましたが、復興再生はまだまだ見えません。阪神淡路の直下型と違い、津波で流された同じ場所に立て直すことが出来ないことや福島第一原発の放射能の影響が原因です。もっと行政がテキパキと処理できないのかと思いますが、これが民主主義なのでしょう。
我々にとって忘れられない阪神淡路大震災ですが、もう18年も前の事になります。自分の一生であんな大きな地震はもう起こらないと思っているのは、私だけではないはずです。しかし、地震の専門家によると南海沖地震が20年以内に起こる確率は70%以上と言われています。この地震ほど規則正しく起こるのは他にないそうです。厭な話ですが、自民党が唱える日本強靭化計画も公共工事の垂れ流しとばかりは言っておられないわが国の危機管理が問われる状況です。
仁成会の仁川、川西両施設では、毎月危機管理委員会を開催しています。透析医療における危機管理には、感染対策・医療事故防止・災害対策を大きな柱として検討しております。
感染対策では、今年はノロウイルスによる胃腸炎やインフルエンザ(ワクチンの不適合?)などが発生し、患者さんのベッド移動や予防薬の投与を行いました。しかし、感染対策は、我々だけで解決できるものではなく、むしろ患者さん個々の対策が重要です。手洗い、うがいの習慣は流行期のみでなく普段から習慣をつけていただきたいと思います。
医療事故に関連して、近年透析液の水質管理の重要性が増しています。長期合併症のアミロイド症を予防するため、その原因物質と考えられているβ2μグロブリンを除去するため、網目の大きなダイアライザーを使用しますが、透析液の水質が悪ければ細菌の毒素(エンドトキシン)が血液に入ってしまいます。本邦の透析学会による水質基準は、世界的にも一番厳しい基準となっていますが両施設ともこの基準をクリアしておりますのでご安心ください。特に仁川では、機械設置10年を経過しましたので、水処理から配管まで全て交換しました。
災害対策に関しては、停電訓練、消防訓練を定期的に実施しています。予想される南海地震は、プレート型のため地震による建物崩壊の危険性は少なく、津波被害の対策が重要と考えられています。仁川、川西ともに内陸のため幸い津波の影響はありません。
先日、災害時支援船構想の会議に行ってきました。ポートアイランドに停泊中のサンフラワー丸を利用して、災害時の避難所や病院船に利用できるかどうかの検討会でした。阪神淡路大震災以後、透析医会・腎友会・神戸大学海事学部が継続して関わってきたものですが、今年から行政や医師会も加わり本格的な会議となりました。
会議の中で、講師の先生が東日本大震災の前にもっとこの組織が実現していたらと後悔していますと何度も後悔を口にしていました。
この時、私は『船だけに航海は付きものや』と思ってしまいました。

理事長   依藤 良一

このページの先頭へ