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新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

今回は皮膚のかゆみに関して書きたいと思います。皮膚のかゆみは透析患者の約60%にみられ、13%にかゆみ由来の睡眠障害があるとされています。
どうしてかゆくなるのでしょうか?例えば私たちは「痛み」を皮膚以外に臓器でも感じますが、「かゆみ」は体内では感じません。「胃が痛い」ということはあっても、「胃がかゆい」ということはありません。痛みとかゆみを脳に伝える神経はそれぞれ別々の神経であり、かゆみの神経は皮膚表面の近くに存在します。図1のように、皮膚の表面が外界から刺激を受けると、神経が刺激を受け取ってその情報を脳へ伝え、脳が「かゆみ」として認識します。かゆみの刺激を受けているのは皮膚でも実際にかゆみを感じているのは脳なのです。かゆみが生じると私たちはかゆい場所を引っ掻き、最初は気持ちが良いですが、その後は痛くなるため掻くことを止め、かゆみも鎮まります。


【図1】

ではなぜ、引っ掻くとかゆみが鎮まり、掻きすぎると良くないのでしょうか?最近の研究で皮膚から脳へ情報を伝える中継点である脊髄で、痛みの神経回路が、かゆみを伝える神経回路を抑制することが明らかにされました。そのため、かゆいところを引っ掻くと痛みの神経回路が活動し、それがかゆみの神経回路を抑制し、かゆみを鎮めます。
図2のように、皮膚を掻くとかゆみから一時的に逃れることができますが、掻きすぎると皮膚のバリア機能、すなわち外からの異物に対する防御機能が低下してしまいます。また、体の中から水分が外に逃げてしまい、皮膚から水分が失われ、乾燥肌になります。バリア機能の弱った皮膚からは、アレルギー反応を引き起こすアレルゲンなどが体内に入りやすくなり、衣服のこすれなどのわずかな刺激でもかゆみ神経を刺激し、ますますかゆくなります。また、掻くと皮膚に存在する細胞から炎症を促す物質が放出され、皮膚炎がさらに悪化し、もともとかゆかった場所よりも広い範囲を掻いてしまい、皮膚炎はさらに悪化してしまうという悪循環に陥ります(図3)。それが掻くのが良くない理由です。


【図2】

【図3】

以上が一般的なかゆみのメカニズムですが、他に透析患者特有のかゆみの原因がいくつかあります。図4を御参照頂ければと思いますが、大別すると①皮膚の問題②脳でのかゆみの感覚制御異常に分けられます。


【図4】

【図5】

皮膚の問題として、「皮膚へのかゆみ物質の蓄積」「かゆみ神経に作用する物質の過剰産生」「外的刺激に対する皮膚の感受性亢進」があります。
透析患者特有のかゆみ物質として尿毒症物質、リン、副甲状腺ホルモンがあります。尿毒症物質とは尿から排出される体内に不要な物質で、透析患者は体内に尿毒症物質が蓄積する傾向があります。かゆみを引き起こす尿毒症物質は通常の血液透析では除去しづらい物質(中分子物質)であり、透析膜や透析方法の変更が有効です。リンは大規模研究で血清リン濃度>5.6mg/dlの患者でかゆみが多かったとの報告があり、副甲状腺ホルモンの血中濃度が高いとかゆみが増強されるとの報告もあります。
またヒスタミンという物質の過剰産生もかゆみを引き起こします。ヒスタミンは元々体内の細胞に貯蔵されており、外的刺激により皮下のかゆみ神経に作用し、脳でかゆみを起こします。治療薬(抗ヒスタミン剤)が有用です。
さらに透析患者は皮膚の角層(表皮の最外層)の水分量が健常者の1/8という報告があり、これは水分含有に必要なアミノ酸の減少が原因とされています。図5のように、乾燥により表皮細胞が萎縮し、その部分にかゆみ神経が多数侵入しているため、少しの外的刺激でかゆみが引き起こされます。


【図6】

皮膚の他にも脳内のかゆみ制御の異常、すなわちオピオイドという脳内物質の異常によって生じる場合もあります。強力な鎮痛薬として知られるモルヒネは痛みを鎮める作用と同時に、かゆみを起こす作用が知られています。このモルヒネと同じ働きをするオピオイドにベータエンドルフィンという強いかゆみを起こす物質と、かゆみを抑えるダイノルフィンという物質があり、両者のバランスによってかゆみが起こるとされています。透析患者は血液中のベータエンドルフィンの量がダイノルフィンの量に比べて多いことが、かゆみの原因の一つであるとされており、ダイノルフィンの量を増加させる治療薬が有用です。
以上のように、透析患者におけるかゆみの原因は多岐にわたるため、治療も様々となります。保湿剤や外用剤、内服薬による治療は私共からも提案致しますが、皆様も全身の保湿や患部の冷却、食事の工夫による血清リン値のコントロールを行うことでかゆみの原因を減らすことが出来ます。つらいかゆみを少しでも減らせる様に皆で頑張りましょう。

仁成会理事長 依藤 壮史

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
昨年は、コロナ禍もなかなか終わりが見えない状況に加え、ロシアの侵略戦争や宗教問題、自然災害など悲しい出来事が色々とおこりました。
新年早々これで新年を祝えない、良い出来事もあったはずだと。思い起こしてみると、将棋の藤井聡太さんや大谷翔平選手の偉業達成、80歳の堀江健一さんが太平洋横断に成功するなど個々の努力が実を結んだ出来事もありました。世界でも伝統的な行事やお祭りが再開されるなどコロナとの共存を模索する傾向にあり、以前よりも前向きな考え方にかわってきているように思えます。
昔の感染症の経過をみても、三~五年で大体収束しているそうで、以前のような生活には戻れないにしても、あと少しの辛抱の様な気もしています。
クリニックにおいても、昨年も皆さんのご協力によって、クラスターを起こす事なく、コロナ感染対応ができました。これからも油断せず、少しずつコロナとどう付き合っていくかを考えていきましょう。家にこもっていると心も体も衰え、ろくなことがありません。それぞれの生活環境は色々だと思いますが、しっかり感染対策をしたうえで、少しでも外出の機会を増やすなど、気持ちも切り替えていける一年でありたいものです。

第二仁成クリニック院長 吾妻 眞幸

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
年初の原稿作成に当たり、つい昨年の衝撃的な出来事が頭に浮かびます。例年にも増してショッキングな出来事が多かった年でした。今年は幸せな出来事の多い年になってほしいものです。
皆さんは、昨年一年間で楽しかったことや嬉しかった思い出を5つ以上頭に浮かびますか? 頑張って思い出してください。私は残念ながら2つ位しか思い浮かびませんでした。ホントはもっとあったのでしょうが、年のせいか忘れてしまいました。
年齢を重ねると感動が薄くなったり、社会の変化(デジタルetc)について行けなくなったり、夫婦関係に変化が起こります。これは私だけに限らず多くの人が感じるようですが、川柳にするとユーモラスに表現され軽い気持ちになります。

コンビニの買い物に携帯電話を使って清算する人を見るとつい憧れてしまいます。
夫婦関係でも世の中、シビアな状況になっているようです。

最後にウクライナ戦争でも有名になった強烈な川柳

ちょっとニッコリ出来る川柳はありましたか? 今年は良い事が沢山訪れれば良いですね。

仁成会 医師 依藤 良一

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