今回は、小泉内閣が聖域なき改革の一つとして掲げている医療制度改革とそれによってどんな影響が生じてくるかについて考えたいと思います。まず、現在の保険制度は医療保険と介護保険にわかれています。医療保険は医者が医療行為をした分の診療報酬額の自己負担分(国民健康保険なら3割負担)以外がまかなわれ、介護保険では認定された介護度レベルまでしかお金は給付されません。介護認定で要支援なら最高幾らまで、要介護なら幾らまでと決められていて、患者さんや家族が希望して受けたサービスの一割を負担することになります。具体的には、買い物に行けないから代わりに行ってもらったり、掃除をしてもらったり、デイサービス、ショートステイなどのササービスが受けられるわけですが、サービス内容によって金額が定められているので、色々としてほしいと希望しても予算がオーバーすれば介護保険では支払われません。
ただ、医療保険と異なる点はオーバーした分を実費で負担すれば希望するサービスを全て受ける事ができます。(普通サービスっていったら無料ですけどね)今回、金額は分かりませんが介護費用も引き下げられるため、自己負担分は減りますが、当然受けられるサービス内容も減る恐れがあります。また、介護を受ける老人を減らす目的で地域支援センターが立ち上げられ、介護予防が行われる様になります。具体的には地域の住民検診時に65歳以上の人の中から、将来介護が必要になるなと思われる年寄りを選び出して、介護を受けなくてもいいように訓練しようという試みです。また、今までの認定方法では客観性に欠けるとの判断で、18年度には介護度の見直しが予定されています。(現在、要介護1が要支援になるかも?)つまり医療保険と同様に介護保険も破綻寸前で節約しようというわけです。では、年をとって自宅での生活が不可能になったらどうするかの心配が誰でもあると思いますが、入院するか施設に入所するかになります。介護保険では要介護1以上の方が特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型医療施設を利用する事ができます(要支援では入所できません)。入所期間はそれぞれ一生、3ヶ月、6ヶ月となっています。しかし残念ながら療養型医療施設は平成23年に介護保険からの支払い廃止が決まってしまいました。廃止後は有料老人ホームに転換でき、医療経営者が経営できる様に法律が改正されました。費用は3施設とも今までは月額5・6万程度の自己負担ですんでいましたが、4月からは食費、ホテルコストが自己負担となり施設整備補助制度も廃止されることから、利用者に更なる自己負担が生じてきます。
おそらく月額20万以上の自己負担となると思います。つまり、有料老人ホームとの格差がなくなるわけです。一方、入院は病院には入院期間の制約があり、長期入院が不可能となっています。入院も入所もできなければ自宅でってことになりますが、医療に関しては在宅療養支援診療所が新設されます。つまり24時間対応の診療所ができるわけです。お金のある人は施設にはいれて、ない人は家に居なさい、病気になれば電話すれば医者が来て診てくれますよってことですけど、診療報酬はかなり高く設定されると考えられ当然、自己負担額が多くなるおそれはあります。また、今回の透析関連の医療改正ではかなりの減額があり、施設によっては検査項目や頻度の削減、透析液の節約、夜間透析の廃止や人員削減などの医療経営改善(改悪?)や維持管理費用(保守点検費用、部品の交換など)の捻出不能から、透析医院の閉院や病院での透析部門の撤退など様々な影響がでるのではないかと危惧されています。以上、医療制度、介護制度改革について書きましたが、この号が出る4月頃には詳細が判明すると思います。
いずれにしても、お金がないとつらい老後がまっているという事です。これからは、透析患者であってもできるだけ入院や入所をせず、自己管理をしっかりして、元気なまま年をとる様にしないといけないと言うことです。我々医療者も同じですが・・・。今日から家内を大事にして将来、介護してもらえる様にしたいとは思います。 (熟年離婚が恐い)
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