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透析患者さまの体重増加

透析室に入り体重測定してベッドに着くと、計算したスタッフに「何キロです」と言われるかと思います。本日の体重増加量ですが、いつもどれくらいでしょうか?

腎臓を患う前は、『体重が増えた=太った』でした。今は、『体重が増えた』=『太った?』or『体の中の水分量が増えた?』です。腎不全になると体の中の余分な水分を尿としてうまく排出することができず、水分が体の中に溜まります。溜まりすぎると血圧の上昇やむくみとして自覚でき、ひどい時は咳も出て息苦しく眠れない状態(溢水:いっすい)になることがあります。一日あるいは二日毎の透析で余分な水分を取り除きます(除水)が、その時に基準となるのが『目標体重(ドライウエイト)=余分な水分が無い状態』です。体重測定した時に目標体重との差を体重増加量と言い、毎回の透析では、『体重増加量+リンス液(透析回路を満たすための液の量)=本日の除水量』として除水します。
体重増加量が多いと「たくさん食べて太ったかな…」と思ったりもしますが、体脂肪や筋肉は一日や二日ではつきません。目標体重が適正で便秘などない場合、透析間に増えた体重は水分の増加と考えます。溢水を防ぐため、体重増加が多い日は透析時間を延長したり、引き残った水分は次回の透析に繰り越したりしながら目標体重を目指さなければなりません。
体重増加量の目安は『1日あき目標体重の3%以内・2日あき6%以内、除水速度は1時間あたり15ml/kgまで』(日本透析医学会のガイドライン)と言われます。ただし、透析時間も個々に違う上、可能な除水速度にも個人差があるため、前述の目安では引ききれない場合があります。御自身が一回の透析で何kgまでの除水が可能か、そのためには体重増加量が何kgまでなら目標体重を目指せるのか、ぜひ知っておきましょう。

家に体重計がある方は毎日計ってみると、どんな食事や水分のとり方で体重が増えやすいのか状況が分かりやすいです。外食やイベントなどで一時的に増加が多い日もあると思います。週末には目標体重で帰れるよう、体重増加量をコントロールすることが大切です。

体重コントロールのポイント

  • 体重増加量は、尿量や汗の量の影響を受けます。夏場は汗がよく出て体重増加が少なめの傾向があります。
  • 体は塩分と水分のバランスがとれており、塩分を摂ると喉が渇いて水分が欲しくなる仕組みになっています。「最近、体重増加が多いな…」と思う時は、減塩を気にかけてみてください。
  • 水分摂取量を考えるとき、飲み物以外に果物やアイスクリームなどの水菓子、カレーやシチューなど、水分を多く含む料理にも気をつけましょう。

食事や水分のコントロールについては栄養士に相談もできます。
ご希望の方は、スタッフにお声かけください。

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