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教えて!Drビーン!!
【第二回】 透 析 効 率 |
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副院長 吾妻 眞幸 |
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1回目は目標体重と心胸比のお話をしました。つまり、身体に貯まった余分な水分を除去するお話でしたが、2回目の今回は体内の毒素を除去するお話をします。
血液透析の目的は『腎不全症で亡くなる事なく平均寿命まで生存させる』事にあります。
では、どんな透析をしたら長生きできるの?って話になりますが、腎臓が働かなくなって体内に蓄積してくる毒素を総称して尿毒症物質といいます。現在まで約90ほどの物質がわかっており、その大きさにより小分子物質、中分子物質、蛋白結合物質に分類されています。では、この毒素を取り除くにはダイアライザーと血流量、透析液流量、透析時間、透析方法が関係してきます。ダイアライザーは半透膜のストロー状になった中空繊維が約1万本納められたプラスチックの筒状外装からなっていて、目に見えない無数の穴がスポンジ状に開いています。この穴を通して毒素や水分が除かれます。つまり穴が大きいと分子量の大きな毒素が取り除かれることになります。
現在では沍^、型といった分類になっており分子量の大きな毒素まで除去可能な型を使用することが主流になっています。膜面積は大きい方が毒素除去し性能をもつことは理解に苦しむことではないと思います。次に血流量はどれくらいが妥当かってことになりますが、世界で一番はアメリカで400ml/分、日本では一番少なく200ml/分が平均となっています。これは体格の違いによるのかも知れません。以外に注目されていないのが透析液流量で、500ml/分が一般的ですが施設によっては、計算上では効率に影響がないという考えから液量節約のため流量を350ml/分まで下げている施設もある様です。機械に流量計が付いているんですが、血流量は気になっても透析液流量まで診る患者さんはいませんけど透析効率には非常に大事なことなんですよ。次に透析時間になりますが、アメリカで1981年に151名の患者を長時間透析(4.5〜5時間)と短時間透析(3.0時間)に分けて死亡率に差があるか調べた論文が発表されました。
結果は、透析時間と死亡率には関係がないとの報告でした。なーんだ、だったら透析時間は3時間で十分なんだって短絡的に思わないでください。毒素の除去は、理論上は十分なんですが、水分除去による心臓に与える影響などを考えると単位時間あたりの除水量の低下や適正な目標体重にすることによる血圧コントロールが重要になってきます。事実、フランスでは週3回8時間透析をしたら長生きできたという報告もあります。
わが国の特徴である長時間、低血流量を見直すべきだとの意見もあり、単純に透析時間を長くすればいいという訳でもないと言うのが現在の考え方です。このように色々な因子で透析効率が変わってくることが分かっていただけましたでしょうか?また、長生きする透析方法など色んな意見がある中で、より良い透析ができるように仁成クリニックでは取り組みをしていきたいと思っています。 |
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